あずみ・・・あずみ・・・。


ン・・・ん〜…あと十分〜…。





早く起きないと、朝ごはんがさめるぞ〜・・・。


…ご飯…はっ。


「おはよぅ梓弓。今日もいい天気だぞー。」


…おはようございます、兄さん…。ってぅわああああっ!?着替えている途中で
起こさないで!っていいますか、あれですよ、前隠してください前!





はぁー…朝から騒がしくてはしたない事を…。


居間に入るとすでにお父さんとお母さんが配膳を終わらせかけていました。


久しぶりに家族全員でとる食事。懐かしい…。


そんな時にふとお母さんは「やっぱり梓弓ちゃんを起こすの上手いわねぇ…さすがお兄ちゃんね♪」


なっ。 顔が熱く、赤くなるのを感じます。


続いてお父さんも「うむ・・・ミーもそう思うよママン。」


今日のあれは不意打ちですよ…。


って兄さん、なんでそんな事で照れてるんですか!まったく・・・。





「お兄ちゃんもそろそろ男としての貫禄が出てきたのかしら?昔パパも私を助けるために結婚式場に飛び込んできたりして…」


「HAHAHA。昔の話だよママン。その後二人で色々なことをしたじゃないか…」


あー、昔話が始まっちゃった…。そろそろ出かける準備をして逃げておかないと遅刻しちゃいます…。





自分の部屋に戻って、投稿前の最後のチェック。


・・・うん、よしっ。


そのときふと、部屋の片隅にある人形置き場を見てみる。…あ、あった。





これ、兄さんが壊したり作り直したりしたいわくつきのものなんですよね…なんで夢に出たんだろう…。


記憶をめぐらす。


…たしか…そう、ずっと昔。まだ兄さんと一緒に暮らしていたころ。


私はいつも一人。学校以外には部屋からあまり出ず、それ以上に人を避けて。


あのころは本当に一人ぼっちで・・・。


そんな時兄さんが何の気まぐれか自分の人形を持ち出してきて遊び始めて。


それで自分はその人形を取り返そうとして引っ張り合ったせいで・・・。


うーん、今考えると残酷な事を。頭と胴体でバラバラになっちゃったんですよね。


それで私、大泣きしてそれにつられて兄さんも…。


結局その後兄さんは、お父さんにげんこつもらってさらに大泣きしてましたね。


あの後兄さん、不器用なのが丸見えな直し方でこのウサギを直して…返してくれて…。


その後不思議と仲良くなって、兄さんが家を出ていくまでずっと仲良しだったような…。


「ん?そのウサギ…」


って、うわぁ!?に、ににににににいさん勝手に部屋の中に入ってこないでくださいっ!!!


はー…。


ごめんごめんじゃないでしょう兄さん…ちゃんとノックしてって、言っているでしょうに…。
心臓に悪いですよ。


兄さんはこの人形のこと、覚えているのかな…。…返ってきた反応は意外でした。


兄さん、ちゃんと覚えていて…それで


「あの時はいえなかったけど、ごめんよ、梓弓」


だなんて…そんな、謝られることなんてないし、何より…自分の方がもっと…


そのとき、ふいに兄さんは私を手で制して


言葉に詰まりながら


結局泣かせちゃった上に、あの時部屋の外に出してあげられなかったから…って。


…馬鹿です、兄さん、本当に…。


本当に、馬鹿で、ぶっきらぼうで、それで、それで…!


あふれ出る温かいものを止めるものは何もなく。


温かく、優しいものが


私に…


って、学校!遅刻・・・っ


あ、まだ大丈夫でした。


…あ…。


目の前の兄さんは、きょとんとした顔で立ち尽くして…あははは、し、失敗…したかな。


と、とりあえず、学校に行きませんか、に、兄さん…。





二人で学校に行くのも久しぶり。


隣り合って、歩く。


それだけが何故か新鮮で。懐かしくて。


…気まずい!


だってだってだって、ついさっきあんな事になった所で自分でチャンスを壊しちゃった挙句
お父さん達に出かけるとき冷やかされてそれだけで二人とも赤面しちゃって…えーとえーとえーと


…じ、自分で…どうして良いか、判らないッ…!


と、とにかく何か・・・話さないとッ…ま、まずは深呼吸、深呼吸…。


よしっ!にいさ


「やあ、梓弓君、兄さん君、今日も元気か?」


何でこんな時に…


「お姉様ー!おはようございまーすっ!」


何でこんなタイミングで…


また、何か重要な拍子を、外したみたいで。


…チャンスの神様は、前髪しかないって、本当ですね。


結局、いつもの通り。


皆で楽しい時間。この時間は掛け替えのない私たちの時間。


…でも、本当に私が望むものは、ただ1つ。


兄さん、いつか、きっと仲直りして、そのときは…。








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