プロローグ 麗らかな朝の…
トントントン…。
リズミカルに鳴る、まな板を鳴らす音。
お味噌の香りは朝の香り。ご飯と一緒に流れてゆく。
今日は快晴、洗濯物も早く乾きそう。まとめて洗っておかないと。
暖かい日差しが、窓を伝う。
さて、そろそろ起こしに行かなくちゃ。
私だけの、素敵な、ちいにい様…。
1. 家族ですもの
「おはよーございまーす」
ちいにい様のドアをノックしながら、朝の挨拶。これが菊依の日課。
今日もまたぐっすりとお眠りになられていらっしゃるので、少々起こすのにも気が引けますが、ここは心を鬼にして♪
部屋の中にそろっと忍び込み♪いつも菊依がお掃除している甲斐あって、いつでも清潔に保たれています。日ごろの賜物です♪
おや、いつものとおりにお眠りしています。ちいにい様。いけませんねぇ…このままでは朝ごはんが食べられなくなってしまいますよ。
ゆさゆさと揺り起こし、再度「おはようございまーす」
あ、やっと起きました。でもまだ
「…ん…菊依…おはよう」
なんて、寝ぼけ半分で答えてくれます。…おほほ、もうちょっとかしら。
「はい、そろそろ起きてくださいな。洗濯物は机の上ですから」
あれ、…もしもーし?うあ、寝てます。
「…うふ。せ−のっ」
ばっ、と布団を取り上げ、生身のままにしておっぽり出します。…が
「すかー」
…あはは、筋金入りのねぼすけさんですねぇ♪うーむ、こういうときはそろりと耳に顔を近づけて…
「ちいにい様〜、早く起きてくださいませんと、菊依が朝の接吻をしてさしあげ」
がばっ。
…効果は絶大でした、うふふ♪
朝ごはんも菊依の手作り、今日は白米と大根と菜っ葉の味噌汁、それと秋刀魚に切干大根、ひじきの炒め物。
今日もまたかっ込んでいってしまわれるので、ちょっとご飯たちが可哀想です、
もう少し早く起きてくだされば問題は無いのですが、それでも
「今日もご飯がおいしいね、菊依っ」
…なーんて、素晴しい笑顔を下さるので、まったく無問題♪ららら〜♪
ちいにい様が登校なさった後、急いで洗濯物を干してこちらも登校。
菊依の通う学校はさほど遠くないのでありがたいです。
なかなかに大きいこの学園は生徒がほぼ二分、男子と女子で校舎が違うというちょっと変り種。しかも高台にあるため坂を上りきるのも容易ではないのですが、鍛えられます。
えっほ、えっほ…今日も遅刻ぎりぎり。洗濯物は毎日やっているので量は少ないのですが、やはり二人分を毎日するのはなかなか…。
ふぅ、2分前。何とか着きました。
「おっはよー、菊依さん」
「おはようございます〜」
「…おはよう、菊依さん」
色とりどりの挨拶をしてくれるのは、とても個性的で楽しい友達です。こちらも挨拶して返します。でもそれほど雑談する暇もなく先生がやってきたりして、ちょこっと寂しいです。
HRが終わり、すぐさま授業です。ここは結構授業内容が高度なので、飽きません。毎日予習もしておかなくてはなりませんし、ちょっと大変ですがやりがいがあります。
四時間目が終わると昼休み。いつもみんなと机を連ねて、雑談交じりに食事。時たまおかずを掠め取られます。しょぼん…。
五、六時間目もまた、授業。わたくしも身を入れてがんばります。
授業が終わると同時にすぐさま帰宅。たまに友達と帰ることもありますが、基本的には家のことですぐ帰ってしまいます。
家に帰るとまず、いつもの和服に着替えます。制服のまま掃除をするわけにはまいりませんからね♪
着替え終わるとすぐさまちいにい様の家に向かい、掃除。はたきでぱたぱた、ほうきでサッサッと。庭もいろいろと手入れをしなくてはなりません。
芝生の管理から活けてある草花の世話。ガーデニングというわけでもありませんが、愛情もってお世話いたしております。
洗濯を取り込んでいると
「ただいまー」
あはっ、ちいにい様が帰ってきてくださいました♪
「お帰りなさいませ♪」
すぐさまかばんを取りに参ります。でも、いつものことながらちいにい様
は
「これぐらい自分で持つよ。」
とお荷物を渡さないどころか、洗濯物まで取っていただいて
「菊依に苦労ばっかさせられないもんな」
と…あは、一本とられ続けてます♪その後もご好意に甘えて、手伝いまでさせてしまいました。あはは…♪
そしてすぐさま買い物へ。ちいにい様も時折ついてきてくださいます。
今日のご飯は…よし、今日はお野菜が安いっ。近所のマーケットで新鮮な野菜を
「…むぅ、菊依ちゃんには負けたよ」
さらにお安く、買います♪ この調子でお肉も同等にいただきます。さっすが、優しい大将様たちです♪おほほ〜♪
買い物が終わり帰宅、すぐにご飯を作ります。出かけるまえにご飯はすでにお釜の中。十分に水を吸っています。
火をかけ、すぐにおかずを作ります。今日は肉じゃが♪そこで
「ちいにい様ー、先にお風呂に入っておいてくださいましー」
はーい、と返事が返り、トタトタと階段を下りる音。
こうしておくことにより循環が良くなります。効率的ですね〜♪
ご飯が出来上がるころにはちいにい様もほっこりと湯気が立ち、机に座っています。
そこですかさずご飯を持ってきます。
「はい、今日はちいにい様の大好きな肉じゃがですよー♪」
なべしきをすき、お鍋ごと肉じゃがを持ってきます。そこで小皿も忘れずに。
お茶碗、お椀、お付けのものはちいにい様に頼んで出しておいて貰いました。そして菊依がご飯とお味噌汁を持ってきて
「お茶碗お願いしますねー」
と、ちいにい様はすぐさまお茶碗を寄越します。すぐさまご飯を盛り、返します。同じように菊依のお茶碗も自分で取り、席に返します。
味噌汁も、同等におわんによそって、返す。
おなべのふたを開けて、もわっと湯気が立ちます…うん、いい香り♪
それでは…いただきまーす。
ご飯が終わるとすぐにお布団を直しに行きます。朝と同じようにちいにい様の部屋をノック、了承をいただいてから入ります。
あはっ、珍しく机に向かっていらっしゃいます♪本当に珍しいですねぇ、おほほ♪明日は雪でも降るかしら♪
軽い冗談を入り混ぜながら、お布団を直していきます。ぱっぱ…と。
あら?
このシーツはそろそろ洗ったほうがいいですねー。明日はシーツごと転がしてあげちゃいましょうか♪うふふ。
布団を直したあとは、お風呂。いつものようにパパーっと入ってしまいます。だいぶ前、ちいにい様にカラスの行水みたいだね、って言われてしまいましたが…あはは、これでもちゃんと髪の毛も体も洗ってるんですけどねぇ…。
よし、それじゃあ今度から一緒に入りますか?と聞いたら真っ赤になっちゃいました。あはは♪
湯から上がってのんびりする時間。ちょっとの間だけテレビを見たりします。髪の毛も乾ききり、さて、そろそろお暇いたしますか、と思い立ち再びお部屋へ向かいます。
ノックはすれど、入らずに。お勉強の邪魔をしてはいけませんしね。了承を頂き、荷物をまとめます。
そのとき、ぎい、とちいにい様のドアが開き
「また明日ね…お休み」
と、これ以上ない言葉をいただきました♪うふふ♪また明日♪
手を振って返すと、ちいにい様もお手を振ってくださいます。ああっ、もう、菊依は幸せです♪
自宅に帰ればすぐさま机に向かいます。いつものとおりに予習、復習。しばらくやっているとあくびが出ます…そろそろお休みです。
夜寝る直前には明日のお米や材料をあらかじめ取り揃えておき、すぐに支度ができるようにしておきます。その点、ちいにい様がねぼすけなお陰でちょっとだけ楽ができるのですが…あはは、あんまりのんびりしておくわけにもいかないのですけれどね♪
そういうわけで、おやすみなさーい。
明日もちいにい様の笑顔が見られますように…。
だって、ずっと一緒に生きてきた、家族なんですもの。
大事に、大事に…やさしく…楽しく…一緒の日々を、すごしたいの…。
「おやすみなさい、ちいにい様…」
私だけの、ちいにい様。いつでも、お傍に菊依はおります…遠慮なく頼ってくださいね…。
終